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最高裁判所第一小法廷 昭和32年(あ)2377号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人尾中勝也の上告趣意一は、第一審判決の判示に副わない事実関係を前提とする(第一審判決は、判示業務上の注意義務を怠り判示のごとき無謀運転を為し、その結果まず小沢の自転車に追突し同人を路上に転倒させて傷害を負わせ、更に、石黒の自転車に追突して同人を即死させた旨認定している。)法令違反並びに判例違反(従って、所論判例は、本件に適切でない。)の主張であり(原判決の控訴趣意第一点についての判示は正当である。)、同二は、違憲をいうが、その実質は、単なる訴訟法違反の主張に帰し(原審で所論の期待可能性のない情況又は所論の心神喪失状態であったとの主張をなした事実は認められないから、原審がこれにつき何等の判断も手続もしないのは当然である。)、同三は、違憲をいうが、その実質は、量刑不当の主張であって、すべて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条一号ないし三号を適用すべきものと認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

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